「子供の乳歯がグラグラしてきたけど、どうしたらいい?」
「何歳から生え変わるの?」
「永久歯がちゃんと生えてくるのか心配だな。」
乳歯から永久歯に生え変わる時期は、分からないことや心配事が出てきます。
生え変わり時期や順番に関しては個人差が多少あるものの、ほぼ変わりはありません。
成長する速度もそれぞれであるように歯の生え変わりも同じようなことが言えます。
しかし、永久歯が生えてこない、乳歯がグラグラしているがなかなか抜けない、歯並びが心配、など悩みも各々違いがあります。
生え変わり時期による多くの悩みや心配事を解決できるよう、歯科衛生士歴20年以上の筆者が勤務中に受けた相談などを取り入れて、Q&A付きで解説していきたいと思いますので、是非、参考にしてみてくださいね!
乳歯から永久歯に生え変わる時期
参照:https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/knowledge/02.htm
永久歯は早くて5歳、遅くても7歳くらいから生えてくる。
乳歯がグラグラしてきて抜ける頃、個人差はありますが、ほぼ5歳から7歳くらいに永久歯が生え始めることが最も多い時期です。
まだ、周りのお友達が歯の生え変わりが始まっていない保育園や幼稚園の頃から自分の子だけだと心配になりますよね。逆に遅すぎても大丈夫なのかしら?と不安になると思います。時期に多少の誤差はありますが、かかりつけの歯医者さんでレントゲンを撮ってもらえば、永久歯の歯胚があることを確認してもらうことで遅かれ早かれ放出しますので安心してください。
歯胚自体が無い場合は先天的な欠損です。遺伝的なこともありますのでご家族で検診を受けることで判明することがあります。
永久歯が生えそろうのは12歳くらい、中学生になるころには生え変わる。
前歯の乳歯から抜け始めて、最後は乳臼歯や乳犬歯(糸切り歯)などが最後に生え変わることでほぼ歯列が完成します。小学校を卒業するくらいから中学校に入学するくらいの時期には生え替わりもなくなります。できれば、小学校のうちは親の仕上げ磨きをしてあげることで、口の中の変化に気付きやすくなるので、こまめな観察が必要です。
永久歯に生え変わる順番
※青字は乳歯
順番 | 歯の名前 | 上の歯 | 下の歯 |
1 | 第一大臼歯 | 6~7歳 | 6~7歳 |
2 | 乳切歯→切歯 | 7~8歳 | 6~7歳 |
3 | 乳中切歯→中切歯 | 8~9歳 | 7~8歳 |
4 | 乳犬歯→犬歯 | 11~12歳 | 9~10歳 |
5 | 第一乳臼歯→第一小臼歯 | 10~11歳 | 10~12歳 |
6 | 第二乳臼歯→第二小臼歯 | 10~12歳 | 11~12歳 |
7 | 第二小臼歯 | 12~13歳 | 11~13歳 |
8 | 第三小臼歯(親知らず) | 17~21歳 | 17~21歳 |
※親知らずは生えてこない場合もあります。
最初は前歯でなく、一番、奥の乳歯の後ろから永久歯が生えてくる
乳歯の前歯が最初に動き始めて生え変わるため、初めは前歯から生えてくると思っている人がほとんどでしょう。
しかし、実は1番奥歯にひっそりと大人の歯が生え始めているのです。第一大臼歯という、大人の歯の中でも1番大きい、噛んで擦り潰す重要な役割の歯でもあります。
乳臼歯の後ろから歯茎を破って生えてくるので、子供が奥歯の痛みを訴える時は注意深く確認して、歯磨きを怠らないようにしましょう。
永久歯の萌出によって乳歯の根っこが吸収されて抜け落ちる
永久歯が成長するにつれて、乳歯の根っこがどんどん吸収されてきます。支えがなくなることによって乳歯は、動きが強くなり、自然に抜け落ちてしまう現象が起こるのです。しかし、まれに永久歯が生えてきているのに乳歯がなかなか抜けない、乳歯が抜けたのになかなか永久歯が生えてこないなど、心配なことが起こる場合があります。
それらは下記のQ&Aで解説していますので、参考にどうぞ!
生え変わり時期に注意すること
「大人の歯に生え変われば、大丈夫!」
「子供の歯が虫歯でも、どうせ生え変わるから心配ないわ」などの考えをお持ちの方は大間違いです。
これから最も重要なことを3つにまとめて説明しますので、歯の大切さを理解しながら大切にしていくことを子どもにも伝えましょう。
虫歯になりやすい生え変わり時期
まず、生えはじめの歯はエナメル質という硬質な部分が薄くバリアが弱いため、油断すると萌出する前に虫歯になってしまうこともあります。
特に奥歯の第一大臼歯は、確認しづらい部位でもあります。
歯ブラシが届きやすい角度として、お口の横から歯ブラシを入れてあげます。
ピンポイントで奥歯に届くように磨くことで、しっかりお手入れを続けられるようにしましょう。
歯ブラシ選びも大事です。ヘッドが小さめでやわらかめの毛先がベストです。
柄の部分はノーマルなストレートで問題ありません。握りやすいグリップがあれば小さいお子さんでも使いやすいでしょう。
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永久歯に生え変わるからといって乳歯が虫歯のまま放置してはいけない。
兄弟が多くて歯磨きが行き届かなかったり、共働きのため忙しくて、仕上げ磨きを怠っていたり、甘いものを不定期に食べさせていたりなど、条件はそれぞれあると思います。
そのなかで子供のうちから虫歯になってしまったと後悔されている親も少なからずいることでしょう。
だからといって、あと何年かで大人の歯に生え変わるから痛がらない限り、放置していても大丈夫と安心してはいませんか?
こちらの詳細も下記のQ&Aで詳しく表記していますので、重要事項として覚えておきましょう。
指しゃぶりや爪を噛むことで生えかわりに影響がある
よく子供は指しゃぶりや爪を噛む癖があることで、手指を口の中に入れてしまう機会が多く見られます。その時間が多ければ多いほど、歯並びや噛み合わせにも大きく影響してきます。例えば前歯が噛み合わない開咬という状態、前歯が前に開いてしまう歯間離開や上あごが全体的に突出する上顎前突など、色々な要因を引き起こしてしまいます。
もちろん、口の中だけでなく、指や爪にも悪い影響を及ぼしますので早い時期にやめさせることが重要となります。
他に気をそらせることや夢中になることを考えてみます。
おススメは手や指を使う手遊びやゲーム、体全体を使う運動やダンスなどを取り入れてみましょう。
その子にとって夢中になれるものを見つけてあげるとストレスも軽減されます。
最終手段としては指に辛いものを塗るなどがありますが、あまりおススメはしたくありませんね。
お子さんの年齢やからだの状態にあわせて検討してみましょう。
噛み合わせが悪いと食事の際によく噛めない、歯磨きの時に磨きにくい、姿勢が悪くなるなど、全身のバランスにも関係してきますので、早めの対処がカギとなります。
歯並びが気になる
生え替わりの途中でも歯列に収まりきれない場合は歯が横から生えてきたり、並びが複雑になったり、永久歯が生え揃う前に気になることがありませんか?
どのような事で歯並びが悪くなってしまうのか?
様々な要因と照らし合わせながら一緒に考えてみましょう。
口腔習癖による悪習慣(指しゃぶり、口呼吸など)
子供の頃は指しゃぶりをしたり、鼻炎などの症状がある場合の口呼吸など、習慣化していることから、歯並びにリスクを伴うことがあります。
いわゆる出っ歯(上顎前突)になります。
前歯が傾斜したまま成長すると歯が開いた状態になり、噛み合わせもおかしくなり、すきっ歯にもなります。
小さいからと言って黙認しないように、早めに指しゃぶりなどは止めさせて、鼻炎などは耳鼻科で早めに治療してもらいましょう。
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現代人の骨格によるもの
最近の子供たちは骨格全体も西洋化しており、頭が小さく足が長くなる傾向であることから、バランス的にも顎(あご)が小さくなりつつあります。
頭が小さいことで顎骨も昔より、小さくなり、顎の骨に歯が並びきらないことがおきます。
歯の大きさは変わらないため、そういった問題で歯並びも悪くなるわけです。
親知らずも生えてくるスペースが無いため、埋まったままであったり(完全埋伏)、途中で萌出しきれない状態(半埋伏)、もしくは元から歯が無い場合もあります。
それに加えて、食べ物も関係してきます。
柔らかいものや歯ごたえの無いものばかり食べさせると顎も退化してしまいます。
しっかり噛んで顎の骨や筋肉まで鍛えられるよう、普段から食事でも繊維性のものや適度に歯応えのあるものを選びましょう。
矯正治療について
歯並びが気になると、矯正治療にも興味や関心がでてきますよね。
「もう、大人の歯が生え揃ったけど歯並びがガタガタ」
「生え替わりの途中だけど、ちゃんと生え揃うか心配」
「乳歯のうちから歯並びが悪いけど矯正ができるの?」
など、様々な疑問があるかと思います。
それを解決に導く答えは以下のようになります。
定期的にかかりつけの歯科医院でのメンテナンスは必須
みなさんは歯が痛い時だけ歯科医院に行けばいいと思っていませんか?
今は予防歯科の時代です。
かかりつけの歯科医院で定期的に診察してもらうことで早いうちから予防、治療ができます。
もちろん歯並びでも同じです。
レントゲンを撮影することで歯の赤ちゃんとなる歯胚が確認できます。
どういう風に生えてくるのか?
もともと歯胚があるのだろうか?
埋伏していて生えてくる位置ではないかも!
など、不安や疑問を解決しながら今後の治療について相談もできます。
ですからメンテナンスは口の中でも最も重要になるのです。
歯が生えてきたら、かかりつけの歯科医院を決める
小さいうちから、かかりつけの歯科医院を決めておけば、不測の事態にすぐ対応も可能です。
例えば、乳歯が抜けないのに永久歯が萌出してきた時や、急性炎症がおきて痛みを伴う場合などで考えてみます。普段から経過を診て頂いている歯科医院ではレントゲンもありますし、予測できていたことと現状を照らし合わせることで素早い判断や治療ができる可能性もあるため、親御さんも安心して診てもらう事ができます。
しかし、多くのひとはまだまだ歯科に不信感をもっている方も少なくありません。
「虫歯が無いから大丈夫!」
「歯医者はお金がかかるから」
と敬遠しているのも事実です。
結局、究極まで我慢して痛くなってから行くことで治療費も日数もかかり、さらに痛い思いをして歯を抜く羽目になったり、結局、悪循環になってしまうのです。
ですから、予防目的でしっかり歯科医院で診察してもらう事で少ない費用で歯も長持ちできるというわけです。
Q&A
・乳歯がグラグラしているが、なかなか抜けない時はどうしたらいい?
まずは歯科医院を受診して診察を受ける事が先決です。
無理に乳歯を取ってしまって出血が止まらない、炎症が引かないなどの感染のリスクを考えると、あとが大変です。
かかりつけの歯科医院で安全に抜歯してもらう事が永久歯にも支障が少ないでしょう。
・生え変わりの時期に歯茎(はぐき)を痛がるのは大丈夫?
乳歯のあとから生えてくる分に対して問題はないのですが、加生歯となる第一大臼歯、第二大臼歯はもともと歯がない奥から生えてきます。自然に歯茎を割って生えてくるので痛みを伴う場合はありますが一過性のものなので心配はありません。それでも痛みが長引く場合や歯茎が腫れてきた場合は他の症状、感染の可能性も考えられるので、その場合は、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
・乳歯が虫歯のままだと永久歯の放出時に問題である。
小さい虫歯であれば早めに治療すれば問題はありません。
しかし、根っこだけになるほどの大きい虫歯であれば乳歯自体の歯並びにも問題が生じます。乳歯がボロボロだと次に生えてくる永久歯の道筋がないため、永久歯さえも萌出時に違う方向に萌出する可能性もあるのです。
さらに虫歯の菌が常在していることで生え変わり途中の永久歯も虫歯になってしまうリスクも増えます。
乳歯のうちから歯みがき指導を受けて、親の仕上げ磨きも生え変わり時期まで続けましょう。
・生え変わりの時期に歯並びを指摘されたが早い段階でも治療できる?
個人差はあります。早い時期から取り掛かったほうが良いのか、生えそろって治療を開始した方が良いのかは、かかりつけの歯科医院か矯正専門の歯科医院などで、まずは相談してみるのも1つの手段です。それからどうするかは本人や家族と相談してから判断することができます。
・矯正治療は必要?費用が高い。
矯正治療は子供のうちから始めれば歯も動きやすいため、治療の期間も比較的短いですが、成長期ということもあり、油断すると戻りも早いので施術後のメンテナンスも重要です。
費用は1部の事例を除いて自費となりますので高額にはなります。
歯科医院でも金額が違う場合があるので、先ずは相談することで、詳細の説明を聞いて考えましょう。
自分で働くようになってから矯正する人も少なくありませんので、親子で話し合うのも必要です。
・全部、永久歯に生え変わったが、親知らずはいつ頃生えるの?抜いたほうがいいの?
上記の表にもあるように生え変わりが完全に終わって安心している17〜21歳頃に萌出するのが一般的です。しかし、現代人は歯が生えきれないくらい顎が小さい場合が多く、この時期に生えてこなかったら埋まっていると考えた方がいいでしょう。歯科医院でレントゲンを撮影することにより確認してもらえますので先ずは把握しておくことが大事です。
のちに痛みがでたり、炎症を起こすと炎症が引いてから抜歯することになります。
それまでは鎮痛剤や抗生剤で抑えながら抜歯するまでは痛みに耐えるしかありません。
そうなる前に健全なうちから親知らずの抜歯を勧めることが多いですね。
埋まっている親知らずは困難な抜歯術を要するため、口腔外科などに紹介される場合もあります。
まとめ
今も昔も同じように歯の生え変わりはあります。
ただ、環境や要因は時代とともに少しずつ変化していくこともあります。
昔は、食べ物も豊富でなかったり、甘いものが少ない時代もあったため、虫歯のリスクは少なかったのも1つの要因と言えるでしょう。
その分、硬いものや繊維製のものを多く摂取していた時代は顎の骨も丈夫で親知らずまで並んで生えているのが普通でした。
現代は、骨格も食べ物も西洋化していることで甘いもの、柔らかいものも多く、いつでも好きな時に好きなものを食べることで常に口の中が酸性化し、虫歯のリスクも増えます。
近年では顎が小さくなり歯も生えそろうことができず、ガタガタな歯並びとなるわけです。
その時代の変化にあわせて、予防を中心にかかりつけの歯科医院で定期的に通院しながらメンテナンスを継続することで多くのリスクを回避できるでしょう。
それぞれの悩みや不安を相談することによって、解決の糸口をみつけてもらう事ができますので、治療方法や症状によっては他院への紹介など様々な手段もあります。
子供にあった治療方法や歯の清掃指導などを受けながら一緒に考えてみるのが最適な方法です。
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