親知らずは、抜歯しなくてはいけないの?抜歯は痛い?親知らずはみんな生えてくるの?
普通に萌出してくる場合もありますが、近年では元々、歯胚自体が無く、萌出しない場合や顎の骨や歯ぐきに埋まったまま出てこない場合もあるのです。
親知らずの痛みや症状にはいろいろな原因がありますが、今回は多く見られる3つの症状を詳しく解説します。
抜歯が必要なケースや経過観察で温存する際の親知らずについても説明しますので、症状によっては早目に歯科医院を受診し、適切な処置や投薬などで改善、治癒できるようにしましょう。
痛みの原因は親知らず?!
「奥歯の辺りが痛い!」
「頬が腫れている!」
痛みや炎症などの症状があっても何が原因か分からない場合もあります。
歯列の一番奥にある、第一側切歯から数えて8番目の歯が親知らずです。
しかし、埋まったまま生えてこない場合もあるため、その場合はレントゲンにて確認できますので1度、診察してもらいましょう。
レントゲンや稀にCT撮影などで親知らずによる炎症なのか、他の歯が原因なのか、顎の骨や歯ぐきの炎症なのかは診断できます。
虫歯や歯周病
親知らずは歯磨きがしづらい部位でもあります。
清掃不良による虫歯や歯周病の発症による痛みや炎症で生活に支障が出る場合もあり、無理に放置していても炎症がひどくなるリスクが大です。
炎症が落ち着き次第、抜歯術をお勧めします。
智歯周囲炎
親知らずの周りの歯周組織が細菌感染によって炎症を引き起こしているものです。
抗生剤投薬や洗浄などで炎症を抑えても再度、再発するリスクがありますので、智歯周囲炎も抜歯術を必要とします。
歯性感染症
親知らずが虫歯や歯周病になることで細菌性の炎症が顎の骨やリンパ節などの周囲の組織まで波及してしまうことで、広範囲に炎症が広がってしまうことです。
抗菌薬などを症状に応じて投薬し、先ずは炎症を抑えることを目標にします。治癒できれば抜歯を検討しましょう。
顎骨骨髄炎
局所的な要因だけでなく、栄養障害や免疫力の低下、代謝不良などが関与することもあります。
初期の段階では症状が無い場合があるので注意が必要です。
健康な方でも、虫歯が進行し、歯の神経にまで炎症が及ぶと骨髄炎を引き起こし、放置することで歯髄が壊死してしまいますので時には治療が困難となることがあります。
化膿性リンパ節炎
細菌感染によるリンパ節に生じた炎症がひどくなった状態です。
首に腫脹がみられたり、熱を持つことがあります。
エコー検査や血液検査で診断できます。
親知らずが痛い!すぐできる対処法
急性的に親知らずが痛くなった場合、すぐに歯科医院に行けなかったり、夜間や休日で歯科医院が閉院していたりする際は、できることから対処してみましょう。
・やわらかい歯ブラシで親知らずを優しくみがき、汚れを取る
・殺菌や消毒成分のあるうがい薬を使って口腔内を洗浄する
・痛み止めがあれば、それを飲んで、一時的に痛みを抑える
・疲れていたり体調を崩した時は免疫力が低下し、痛みや炎症が出やすくなるので、栄養ある食事と睡眠をしっかりとって、体調を整えること
抜歯が必要なケース
まっすぐ生えてくることができず、微妙な角度のため痛みの原因となっている際や、虫歯があるのにもかかわらず、歯の位置が奥すぎて虫歯の治療ができないような時などは抜歯は必要です。
普通に生えてきても、今までの噛み合わせに不具合がでたり、顎に痛みを生じた場合も抜歯を勧めるケースが多いでしょう。
さらに以下では症状別に解説します。
痛みや腫れなどの炎症
親知らずの周囲組織が炎症によって痛みや腫れを引き起こしてしまいます。
炎症が繰り返すようであれば症状が落ち着いたあとに早めの抜歯をお勧めします。
歯並びに影響がでる
親知らずの角度によって萌出している歯を押す形となって歯並びに影響を及ぼします。
水平埋伏歯や半埋伏歯による親知らずはその可能性が高く、感染のリスクもあるため、歯並びに支障が出る前に抜歯を検討しましょう。
隣接する歯に虫歯や、歯周炎がある
隣接している歯に大きな虫歯があったり、歯周病が進行していると親知らずまで同じように波及してしまうリスクがあります。同時に2本抜歯する可能性もありますが、放置しておくと顎の骨やリンパ節まで炎症が広がってしまう可能性もありますので早急に処置をしてもらいましょう。
また、女性は特に、妊娠するとホルモンの変化によって歯肉炎を発症し、食生活の変化や悪阻などで歯みがきが出来なかったりと、口腔内が不衛生になる要因があります。
生理の際にいつも歯肉が腫れやすいが、終わると治るという人も注意が必要です。
そのため、若くて健康なうちに悪化しそうな親知らずは歯科医師の診断の元、抜歯術する方向で検討しましょう。
抜歯後の注意
無事に抜歯がおわったあとも重要な注意事項があります。
自己判断はせず、気になることや心配なことがある場合はすぐに歯科医師に連絡がとれるようにしておきましょう。
・圧迫止血:出血が続く場合は清潔なガーゼなどを丸めて創部にあててしばらく噛むことで圧迫止血を行います。それでも治まらない場合は歯科医院へ連絡して指示を仰ぎましょう。
・血流の良くなることはしない:熱い湯舟にはつからずシャワー程度で済ませる。激しい運動は控える。飲酒は避ける。
・うがいの制限:抜歯後の出血が治まりつつあるなかで激しいブクブクうがいなどをしてしまうとさらに出血を促してしまいます。お口に水を含んでそのまま吐き出す程度の軽いうがいにとどめましょう。
・腫れてるとき:頬が腫れて熱をもってくるとつい、キンキンのアイスノンなどで冷やしたくなりますが、創部の血流が悪くなることで治癒不全をおこしてしまう可能性があります。水道水などの常温の濡れタオルなどをあてて様子をみましょう。
・抜歯後のケア方法
抜歯後は痛みや腫れによる開口障害などで歯磨きが疎かになってしまいます。
できる範囲で創部以外の歯は歯磨きをしましょう。小さめの歯ブラシで歯磨き粉が染みる場合は付けなくても良いので必ず、口腔内は清潔にしておきましょう。
Q&A
Q1、何歳ごろに生える?
永久歯が生えそろうのは中学生になるころ(12〜13才位)ですが、親知らずはかなり時期が開いて18歳前後になります。
Q2、抜歯後の痛みはありますか?
麻酔が切れて来ると痛みが出てきます。抜歯後、痛み止めをもらったらすぐに服用しておきましょう。次の痛み止めを服用するタイミングは4時間ほど経ってからになります。
Q3、抜歯後は腫れますか?
抜歯後2,3日がピークで腫れてきます。熱をもって開口障害もでてきます。しかし、抜歯後の注意にもあるように決して冷水で冷やさないでください。
Q4、初診で抜歯できますか?
症状によって抜歯できないこともありますし、歯科医院の患者さんの予約次第では時間が摂れない場合もあります。予約する時点で抜歯が当日、可能か確認すると良いでしょう。
まとめ
親知らずは炎症が出てしまうと、すぐには抜歯ができません。抜歯後の治りが悪くなってしまうため、一旦、炎症を抑えてから抜歯になります。
普段から痛みがなくてもかかりつけの歯科医院で定期的に診てもらう事で早期発見、早期治療ができます。
痛みが出た際の応急処置を把握しておけば、もしものときにすぐ対応ができますので、抜歯になってもスムーズに進められるでしょう。
常に自分の口の中を観察する習慣を心掛け、すこしでも変わったことや気になることがあれば歯科医院で早めの診察を受けることで炎症などの悪化を防げます。
抜歯になったとしても、しっかり説明を聞いて納得したうえで治療を受けましょう。
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